JCCT版 · 第2巻ENCYCLOPAEDIA ECHINOIDEA

ウニ百科

トゲの中には、海の甘さが詰まっている。

岩場のウニ

うに【海胆・雲丹】名詞

  1. トゲに覆われた丸い殻をもつ、海の生き物。ヒトデやナマコの仲間(棘皮動物)。
  2. その生殖巣。濃厚な甘みと旨味をもち、寿司・刺身・丼などで食べる高級食材。

※本書は主に②を扱います。①を素手でつかむのはおすすめしません。

1名前と漢字

ウニは漢字で「海胆」「海栗」「雲丹」と書きます。生きているウニには「海胆」や、イガグリのような見た目から「海栗」を、塩漬けなどの加工品や食品としてのウニには「雲丹」を使うことが多いといわれます。英語では sea urchin(海のハリネズミ)。最近は英語でも、食材としてそのまま「uni」と呼ばれます。

2食べているのはどこ?

トゲ殻生殖巣(食べる部分)口(アリストテレスの提灯)
殻を割って上から見た図

私たちが食べているオレンジ色や黄色の部分は、ウニの生殖巣(オスは精巣、メスは卵巣)です。ウニの体は星のような5つの部分からなる「五放射相称」なので、生殖巣も5つ。殻を割ると、5つの身が星形に並んでいます。

身の色は種類や食べている海藻で変わり、淡い黄色のものは「白」、濃いオレンジのものは「赤」と呼ばれます。オスとメスで味に大きな差はなく、どちらもおいしく食べられます。

3なぜこんなにおいしい?

ウニのおいしさは、いくつもの味の成分の組み合わせから生まれます。研究では、旨味のもとのグルタミン酸に、甘みをもつグリシンやアラニンが加わり、さらにアルギニンなどほのかな苦みをもつ成分が味に奥行きを与えていることが分かっています。

旨味グルタミン酸
甘みグリシン・アラニン
ほのかな苦みアルギニンなど
コク脂質

そこに、とろけるような脂のコクとなめらかな舌ざわりが重なります。甘み・旨味・ほのかな苦み・コク。この絶妙なバランスこそが「ウニらしさ」です。

また、ウニは海藻を食べて育つため、えさの海藻の質や量が味を大きく左右するといわれます。さらに、加工の仕方も味に影響します。形を保つためにミョウバンを使うと苦みが出ることがあり、ミョウバンを使わず塩水に浸けた「塩水ウニ」は、ウニ本来の甘さが味わえます。

4なぜ日本人はウニが好き?

日本では江戸時代から、塩漬けにした越前(福井県)のウニが「日本三大珍味」の一つとして知られてきました。ほかの二つは、長崎のからすみ、三河のこのわた。ウニは昔から特別なごちそうだったのです。

ウニの軍艦巻き
ウニの軍艦巻きPhoto: note thanun / Unsplash
ウニといくらの升盛り
ウニといくらの升盛りPhoto: Iris Yan / Unsplash

寿司との出会いも大きな転機でした。崩れやすいウニを寿司にするため、ご飯を海苔で囲む「軍艦巻き」が1941年に銀座の寿司店で考案されたといわれます。その後、輸入や冷凍の技術が進み、回転寿司でも気軽に食べられるようになりました。

今では、世界で獲れるウニの約9割を日本が消費しているともいわれます。世界のウニ漁獲量は年間約6.4万トン(2022年)で、その約半分はチリ産。日本は世界中からウニを集める、世界一のウニ好きの国なのです。

5世界のウニ料理

イタリア

ウニのスパゲッティ

南部のプーリア州やシチリア島では、ウニをパスタにからめる「スパゲッティ・アイ・リッチ」が名物です。

フランス

殻ごと生で

地中海沿岸のプロヴァンスでは、冬にウニを殻ごと割り、パンと白ワインで味わいます。

チリ

世界最大の産地

世界のウニの約半分を獲る国。ウニをレモンや香草のソースで食べる料理が親しまれています。

韓国

ウニのわかめスープ

済州島などでは、ウニとわかめのスープ「ソンゲミヨックク」が食べられています。

アメリカ

サンタバーバラのウニ

カリフォルニアのサンタバーバラ産ウニは、寿司店やレストランで人気です。

ニュージーランド

キナ

先住民マオリの人々は、ウニを「キナ」と呼んで昔から食べてきました。

6世界中で愛される理由

!ほかにない味

甘み・旨味・コクが一口で広がる、ほかの食材にない味わい。

!限られた量

1つのウニから取れる身はわずか。漁期も限られるため、特別感があります。

!和食の広まり

寿司の人気とともに、「uni」の名前と味が世界に広がりました。

!海の恵みの象徴

磯の香りと甘さが、海そのものを味わう体験に。

7ウニの暮らし

海中のウニ
海中のウニPhoto: NOAA / Unsplash

ウニは、殻から伸びる管足(かんそく)という細い足で海底をゆっくり歩きます。口は体の下側にあり、5本の歯をもつ「アリストテレスの提灯」と呼ばれるしくみで、岩についた海藻をかじって食べます。古代ギリシャの哲学者アリストテレスが、その形をランタンにたとえたのが名前の由来です。

8タスマニアのウニ

ベイ・オブ・ファイアーズ(東海岸)
ベイ・オブ・ファイアーズ(東海岸)Photo: Autumn Afar / Unsplash

当社が扱うタスマニア産ウニは、南緯40度台の冷たい海で、潜水漁師が一つずつ手で獲ったもの。海流に乗って増えすぎたウニを獲ることは、海藻の森を守ることにもつながっています。

タスマニア産ウニのページへ →

9豆知識

?「海栗」の由来

トゲだらけの姿が、イガに包まれた栗に似ているから。

?軍艦巻きはウニのため

崩れやすいウニを握るため、1941年に考案されたといわれます。

?塩水ウニ

ミョウバンを使わず塩水に浸けたウニは、苦みが出にくい。

?口は5本の歯

「アリストテレスの提灯」で、岩の海藻をかじり取ります。

10ウニ検定

ここまで読めば、あなたもウニ博士。

  1. Q1ウニの、食べている部分は?

  2. Q2ウニの生殖巣は、1つのウニにいくつある?

  3. Q3ウニの口のしくみの名前は?

  4. Q4世界のウニの約何割を、日本が消費しているといわれる?

11関連項目

編集・発行:日中協栄通商株式会社(エンガワのリーディングカンパニー)
写真:Unsplash(Unsplashライセンス)より。